宝塚観劇の日々

宝塚と観劇の日々

宝塚を中心に観劇の感想などを備忘録的に。。。

ミュージカル「NINE-ナインー」

 ナインを見てきました。
黒い涙(血?)を流した城田優が印象的なポスターで、興味がそそられましたよね。
その反面、ストーリーのあらすじにはたいして惹かれず。苦笑
それでも観劇を決めたのは楽曲が アーサー・コピット氏によるものだったからですかね~。私、彼の作品の一つである「タイタニック」の楽曲が凄い好きなんです。 

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さていつもながらにネタバレ含みつつも、あさ~い観劇の感想です。笑

創作スランプに陥った映画監督のグイド・コンティーニ(城田 優)は、新作の撮影が迫っているにも関わらず、構想が浮かばず苦悩していた。
そんな中、結婚生活に不満を募らせた妻・ルイザ(咲妃みゆ)に離婚を切り出されてしまう。グイドは妻との関係修復とスランプ打開の為、ルイザを連れてベネチアへ逃亡。スパのマリア(原田 薫)が誘うベネチアの温泉で癒しの時を過ごす筈が、グイドの新作と離婚危機スキャンダルを嗅ぎつけたマスコミが押しかけてきて休まる暇もない。その上、グイドの愛人・カルラ(土井ケイト)が追って来て、妻との溝も深まるばかり。
挙句に映画プロデューサーのラ・フルール(前田美波里)が、アシスタントで評論家のネクロフォラス(エリアンナ)を伴い脚本の催促にやってきた。撮影は4日後に迫っている。
女性たちに翻弄され現実から幻想の世界へと迷い込んだグイドは、少年時代に戻り母(春野寿美礼)の元へ。さらには自身の性を目覚めさせた娼婦・サラギーナ(屋比久知奈)との出会いへと思いを馳せ、失った愛を追い求める。
迷走するグイドは、成功の鍵となる自身のミューズ、女優・クラウディア(すみれ)に新作映画への出演をオファーするが・・・

 まず、舞台上に組まれたセットと、それを動かす動きすら見事なパフォーマンスに変える演出とDAZZLEの方々が凄いなぁ~って思いました。
個人的に、よく舞台セットをキャストやスタッフが動かす場合(盆が回らない舞台の場合特に)地味にその動きとかが(たまに悪目立ちしてる場合ってあるじゃない?)気になってたんですが、本作は、それすら演出の一部って感じ嫌いじゃない。笑
逆に、同じ藤田俊太郎作品のジャージーボーイズでも観られた舞台上でのカメラで撮られた映像を流す演出は、ジャージーくらい少しなら良いんだけど、今回みたいにあまり多用されると気が散ってしまう気がしないでもない。
おもしろい試みだとは思うんだけど、今回は英語、イタリア語などが混じった際(主に歌唱場面)字幕が使われるし、それに加えて映像の演出がまで増えてしまうとちょっと疲れちゃう。ってか、舞台上の演技とかに集中できないんだよね~


自分が置かれている状況とイマイチ理解できてないというか、グイドとルイザの結婚で何が問題なのか、それをわからず(直視せず?)いるグイドを見てると、演じてる城田優さんは、そりゃぁまぁカッコイイんだけど、こんな男は嫌だなぁ~って思うわけですよ。最初は。
でも、幕が閉じた後に残るのは、最初に感じた嫌悪に似た感情ではなく、どこか愛おしい感情というか、哀れみに似た感情というか。

何気に城田さんを舞台を観るのは数年ぶりなんですけど、なんか以前よりも断然お歌が上手になられたというか。そして、セリフはほとんど日本語なんだけど、お歌になると英語(たまにイタリア語)になる部分のなんてナチュラルなことか。
まぁ、それは他のキャストにも言えるけど。(凄いなぁ~)
あと、まさかのオペラ歌唱をされると思わずびっくり。


あと、すみれさん。私彼女を舞台で観るの初めてだったんですけど、お歌がお上手でびっくり。身長も高いし、舞台映えするし、もっと舞台出て欲しいかも。笑
以前(TVとかで見てた頃より)ふくよかになられたのかな?そのせいかグラマラスでザ・女優がとってもお似合いでした。

そういえば、この作品エリアンナさんも出演されてるんですが、私、結構彼女好きなので、(嫌な役だったけど)結構ハマってて好きかも。笑
とはいえ、最後の場面でのラ・フルール(プロデューサー/前田美波里)とネクロフォラス (エリアンナ)は結構酷いけど。苦笑


創作活動に煮詰まり、周りの女性たちとの関係に(自業自得では・・・?)に翻弄され追い詰められたグイドが妄想と過去の世界に迷い込んだ場面。
そこで、シスター?娼婦?そのどちらでもない?サラギーナとの出会いを思い出すんだけど、サラギーナを演じてる屋比久知奈さんが、歌唱力はもちろんなんだけど、自由奔放で悪女的なお役を実に上手に演じてらしてびっくり。
だって、愛人然としたカルラと違ってそこまでいやらしい格好をしてるわけじゃなし、屋比久さんって割と若いのに。
あとサラギーナの「Ti Voglio Bene/Be Italian」はなんか盛り上がる。好き。笑

グイド の愛人のカルラは逆に哀れ。
サラギーナは、グイドの最初の女性だったからか、彼の中に今でも影を残しているけれど、カルラはグイドにとってはただの欲望の相手で。なのに、彼女自身はそれをわかってない。だから、最後にグイドに捨てられる場面哀れで。みじめ。
だけど彼女の歌う「Simple」は美しい

諦めていたのか受け入れていたのか、それまで抑えられていた感情が爆発する2幕の咲妃さんのルイサは流石。1幕では少し声量の面で不安を感じたけど、2幕の「Be On Your Own」は素晴らしかった。やはり咲妃さんはお歌単独よりも歌芝居がとってもお上手。


あと、グイドの事を優しく包み込んでるのか、優しく突き放しているのかなかなか難しい役どころである母親を演じられている春野寿美礼さん
私、春野寿さんの事好きでも嫌いでも特になかったんだけど、このお役というか、この作品での彼女の歌声は好きだわ~。
というか、この作品、全体的にみなさんお歌のレベルが高い方ばかりで、あと、やっぱり私モーリー・イェストン氏の楽曲好きだから、観てて(聴いてて)凄い心地が良い。

しかし、どうしてこう人間ってのは、失ってみないと自分が本当に必要としていたもの必要としていた存在が分からないのか。
それは、人間が愚かな生き物だからなんでしょうかねー



ところで、今作DVDになるみたいで。
近年梅芸制作の作品が映像化されるようになってきてると感じるんだけど、個人的には同じく梅芸制作(だったよね?)でモーリー・イェストン氏の「タイタニック」も是非映像化してほしい!!!
割とマジで。
あと、再演も。笑



ミュージカル「ナイン」
脚本 : アーサー・コピット
作詞・作曲 : モーリー・イェストン
演出 : 藤田俊太郎

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