さて、初日の観劇の興奮もそのままにだいきほ(望海風斗・真彩希帆)お披露目公演「ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜」の個人的感想を。
(ネタバレ含まれますのでご注意ください)
宝塚をよく観劇される方やフランス革命に詳しい方ならすっかりなじみのある政治家ロベスピエールのお話です。作品発表時から、ロベスピエールも含め主要キャストの殆どが最終的には処刑されている史実を基にオリジナルエピソードを加えた作品ということで、一体どの時代のフランス革命が描かれると思ったら、わりと後半の時代でした。
1792年末から1794年半ばまでのお話ですね。2年にも満たない年月でこれだけのことが起きたのかと思うと、当時の時代は凄いなぁと思います。
もちろん史実とは違っている部分もあるのですけど、基本的は史実なぞっていると思います。興味のある方は詳しくはwikipediaを見てみるとよいと思います。
マクシミリアン・ロベスピエール(望海 風斗)
だいもんの歌は、もちろんいうまでもなく素晴らしいです。また、お歌だけでなく、作品の最初のころはまだ革命の理想に燃えるピュアな革命家だったのに、お話が進むにつれて追い詰められていき、恐怖政治に傾いていく様を見事に演じられてました。
対外戦争と内戦で混乱するフランス。同じように(自分の中で)混乱して、ある意味狂っていくロベスピエール。
そんな中で唯一希望が見えるようなシーンを生み出すのはきぃちゃんとのシーンです。おふたりのデュエットも素敵。このまま物語は良い方向に向かうのかと思ってしまいますもんね。まぁ、そうはいかないのがフランス革命ですね
マリー=アンヌ(真彩 希帆)
きぃちゃん、ヤバいです。素晴らしすぎて。
だいもん同様お歌が上手なのはわかっていたのですが、自分(マリー=アンヌ)の心情を歌うシーンなどの感情の乗せ方が素晴らしかったです。きぃちゃんが革命の犠牲になった家族や恋人の事を歌う場面などは思わず目頭が熱くなってしまいましたよ。
最初は憎くて憎くて殺すつもりで近づいたロベスピエールに対する感情の変化も良かったです。
ジョルジュ・ダントン(彩風 咲奈)
女性に人気があったというロベスピエールとは違う、肖像画などでも残っているダントンはいかにも無骨な男って感じなんですけど、もちろんそれを咲奈さんが演じると(外見は)カッコよくなるんですけど、雰囲気はあの肖像画のダントンを彷彿させるものでした。(ついこの間まで「ネモ船長」として高貴な雰囲気を放っていた人と同一人物とは思えませんね)ちゃんとおっさんに見える(←褒めてます)
普段、享楽家のように振舞っているダントンがたまに見せるまっすぐな姿(言葉)は素敵ですし、なによりも最後ムーラン、その妻のリュシル(彩みちる)と共に処刑されるシーン「大胆に行こうぜ、男なら」は目頭が熱くなりますね。
カミーユ・デムーラン(沙央 くらま)
革命家なのに友人思いでやさしいデムーランはまさに優しいコマさんの様でした。
恐怖政治に傾いてしまっているロベスピエールを救おうとダントンへ送る手紙のシーンは素晴らしかったです。コマさんと咲奈さんのこのシーンはじーんとくるものがりました。
マノン・ロラン夫人(彩凪 翔)
革命を終わらせようとしているタレーラン(夏美 よう)と、ジャコバン派をつぶそうとしているジロンド派の女王。作品の冒頭から要所要所で出てきてその美貌と気高さを振りまいている凪様。男役さんですが女性役も美しかったです。
史実上の人物ばかりのこの作品では有名な言葉が随所に出てきますが、ロラン夫人の「自由よ、汝の名のもとでなんと多くの罪が犯されたことか」が出てこなかったのは若干残念ですが、まぁ、このセリフは革命の影の部分の象徴とされている言葉ですからね。この作品では使えないですかね。少なくともロラン夫人の名言はそんなに出せないかな。
個人的には「私もう我慢できそうにありません」ってセリフがお気に入り(笑)
サン=ジュスト(朝美 絢)
大劇場公演としては今回から雪組の一員となったあーさ。サン=ジュストの有名な「処女演説」のシーンから始まっているので凄く目を引きますね。あーさの組替えは「吉」と出ましたね。月組時代からでは考えられないくらいいいお役をもらってると思う。役柄からもわかる通りかなりおいしいお役でしたね。2番手の咲奈さんの次ぐらいにお歌のナンバーも多かったし。
ただいかんせん、あーさは少年役からなかなか脱却できないのが残念ですね。(まぁ実際のサン=ジュストも25歳とかでしたからね。しかたがないか)
あっでも、あのアシンメトリーの髪型は、個人的に好きです。
オーギュスタン・ロベスピエール(綾 凰華)
あーさ同様今回の作品から雪組へ組替えとなったあやな君。「阿弖流為」の母礼役が良かったからでしょうか、今回注目してみちゃいました。だいもん演じるロベスピエールの弟役なのでわりとロベスピエールがいる際はジャコバン党の集会所のシーンにいるので見つけやすいってことはありますけどね。
本作の新人公演で主演をされるんですよね。この作品の主演を経験できるなんてすごく勉強になると思う。しかもだいもん先生から学ぶことになりますしね。
フィリップ・ル・バ(永久輝 せあ)
友人曰く、組替えしてきた生徒はよく「組替えご褒美」なるちょっと良いお役がもらえるみたいで、その煽りをくらったなぁ~と思ったのがひとこちゃんです。「幕末太陽傳」など前回までの大劇場公演のお役と考えたらその役の違いは凄い。ひとこがんばれー
とりあえず、前回の公演(ネモ船長)に続き、声が枯れてしまっているように聞こえるので喉のケアをしてほしいです。(いや、してますよね。きっと)
フーシェ(真那 春人)
まなはるが老け役以外をやるのって久しぶりじゃない??と思いながらの観劇でした。ロベスピエールたちのやり方に当初から反対していた反革命派のまなはるたちが、いい感じにタレーランと繋がっていてロベスピエールたちを失脚させるわけで、けっこうおいしいお役ではないかと思いました。
史実をご存知ならなっとくでしょうが、公式サイトの人物相関図でジャコバン派の中でも別の枠で囲まれているのがちゃんと意味がありましたね。(観劇前にちゃんと見ておけばよかった。苦笑)
本作はミュージカル作品で有名なフランク・ワイルドホーン氏が手掛けられてますが、ワイルドホーン氏の楽曲は難しい曲が多いのですが、それを初日からだいもんときいちゃんは見事に歌いこなしていて素晴らしいと思いました。
公演を重ねるごとにもっともっとより良いものになるのだろうと思うと楽しみです。
逆に、ふたり以外の組子はまだまだ発展途上感は否めないので、千秋楽まで頑張ってほしいです。
でも、この作品をムラ(宝塚大劇場)で約1ヶ月、そしてその後東宝(東京宝塚劇場)で公演することになる雪組さんはますます素晴らしいものになるのではないでしょうか。
公演後半の12月に観劇するのが今から楽しみです。
お披露目公演からトップスターがまさかの処刑台送りとかいう凄い作品でのスタートとなりましたが、今後の雪組の活躍が楽しみでしかないスタートにもなりました。
2幕のショーについては別のページで書きたいと思います。
(my千秋楽はこちら)
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