宝塚観劇の日々

宝塚と観劇の日々

宝塚を中心に観劇の感想などを備忘録的に。。。

雪組「ファントム」観劇 第1幕

チケット難公演が多かった年の大劇場公演を締めくくるにふさわしい『ファントム』ですが、チケ難であることが納得せざるを得ない完成度で、ホント1回ぐらいの観劇ではもったいない公演でした。(幸運にも私はチケットを確保できたので、まだ数回観劇予定にしてるけど)

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最近、宝塚でも映像を使用した演出とかが増えてきてるけど、本作のように冒頭の導入部分でとか、背景としてしようするのは割と効果的かもしれないと思いました。
(私は基本的は、映像に頼りすぎたり本来演者が演じるべき部分を映像で描くのはあまり好きではないのです)

いつもながらネタバレしております。(そして文体がブレブレですが。苦笑)

幕が明けてすぐのHear My Tragic Tale (僕の悲劇を聴いてくれ)からして物凄く美しくて悲しい。
美しくも悲しい旋律の中をファントム エリックことだいもん(望海風斗)を中心にファントムの従者が踊るわけですよ。
以前映像でファントムを観たことがあったはずなのに、従者の存在をすっかり忘れていた私はこれにはちょっとびっくりした。ってきり、『オペラ座の怪人』同様ファントムは孤独に一人で暮らしていたのかと思っていたので。
でも、のちに、彼ら(従者)の存在をエリック自ら説明してくれるんですけどね。笑

暗いオペラ座の地下の風景から一変してクリスティーこときいちゃん(真彩希帆)を中心にしたパリの街角の場面Melodie De Paris (パリのメロディー)になるわけです。
きいちゃんクリスティーヌの可愛らしい事っ!そして凪様(彩凪翔)フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵のハンサムなことっ!
個人的に凪様シャンドン伯爵は『伯爵令嬢』で見たリシャール味を感じました(髪型のせいかしら苦笑)
ぱぁぁぁと舞台が明るくなるパリの場面とこの後のビストロの場面は華やかで大好きです。

新公以外ではきっとこれくらいの老け役は初めてでは?と思われるオペラ座の新支配人のアラン・ショレことあーさ(朝美 絢)ですが、けっこう立派な顎髭も蓄えてて、いじわるな支配人というよりはどちらかと言えば、コミカルな役作りでしたが、ぶっちゃけ、そこはカルロッタを演じるヒメ(舞咲りん)がヤバすぎて。
ヒメさん、ノリノリ。ちょっとノリ過ぎかもって感じる時もあるくらい。
まぁでもカルロッタの傲慢で嫌なプリマドンナぶりは、本物の歌姫であるクリスティーヌとの対比として必要だったのかもしれませんけどね。This Place Is Mine (この場所は私のもの)


カルロッタの歌声を聞いた後に、自分(エリック)の求める❝ 天使の歌声 ❞を求めて歌う姿は、2幕まで全てを観た後に振り返ってみると、母の愛=歌声 を聞いて育ったエリックにとって、自分を愛してくれるまだみぬ天使=自分を愛してくれる人 を想って歌ったのでは?と思うとより感慨深く感じました。Where In The World (世界のどこに)

カルロッタに都合よく衣装係とて雇われたクリスティーヌだけど、そんな境遇にも全く挫ける様子さえなく、むしろ憧れのオペラ座で働くことができる喜びを歌うHome (私の夢が叶う場所)
そして、そんなクリスティーヌの歌声を聞いて彼の求める音楽に触れたエリックのHome (私の夢が叶う場所)
もう、だいきほのハーモニーの美しいことっ!歌声だけで涙が出てしまうよ。
だいもんの歌声は勿論のことですが、きいちゃんの高音の伸びやかで美しいことよ。

エリックの敵(=歌えない歌手)であるカルロッタのオペラ座でのリハーサルを、エリック自ら邪魔する場面ですが、これはね~~~~
エリックが登場するまでの場面の団員のセルジョ役のひとこ(永久輝せあ)リシャール役のカリ様(煌羽レオ)のおいしい事っ!
特にひとり白い衣装を身にまとったひとこのカッコいい事っ!
正直なところ、エリックがセルジョに化けて舞台に上がるのですが、カッコ良さはひとこに軍配が上がるかなぁ~(まったくの個人的意見です)
まぁ、ずっと地下で暮らしていたファントムには表舞台が似合わないのは当然かもしれませんが。

エリックがクリスティーヌに歌のレッスンを施す場面でのYou Are Music (君は音楽)が、個人的にはヤバかった。美しすぎて。
あれは、音楽についてではないですよね。愛についての歌ですよね。
そして、この歌でエリックがクリスティーヌに母の面影を重ねていたことが振り返って考えてみるとわかるのですよ。

ビストロの場面では、まさかあんなにキャリエール演じる咲奈(彩風咲奈)と凪様の絡みが見れるとは思わなくて。(別の意味で感動)
時間にすると短い間ですが、ふたりの掛け合いもキャリエールとシャンドン伯爵との信頼関係を見せてくれてステキ。(得に今回は彩彩だけにね)
シャンドン伯爵とクリスティーヌのツーショットはまるでお似合いの恋人同士に見えちゃいました(白いドレスだし結婚式のようだったな)
でも、だからこそ、クリスティーヌの成功を喜ぶ一方で、光の下で彼女と幸せそうに笑うシャンドン伯爵にエリックは(知らず知らずのうちに)嫉妬してしまったのかも。
Who Could Ever Have Dreamed Up You (思いもよらぬ君)If She Loves Him(彼女はあいつを愛するのか)
エリックを想うとなんて切ない曲なんでしょうか。

そしてカルロッタの陰謀によりステージの上で声が出なくなってしまったクリスティーヌを救うのは他でもないエリックなのですが、
地下で平穏に暮らしていたエリックからしたら、カルロッタの陰謀などが(簡単に)行われている地上はまさに地獄のようで、そこから自分の愛する人を助けたのかもしれませんが、残念ながら地上に暮らす人々からはクリスティーヌはオペラ座に棲んでいるという怪人(ファントム)にさらわれたようにしか見えないのですよね。。。
客席から観ていて、クリスティーヌを助けようとするシャンドン伯爵たちが味方なのか敵なのか、視点をかえるだけで全然変わっちゃうから。(難しい)
混乱する舞台。私の心も混乱。


そして1幕の幕が下りる


三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』
PHANTOM
Book by Arthur Kopit
Music and Lyrics by Maury Yeston
Based on the novel by Gaston Leroux
脚本/アーサー・コピット 作詞・作曲/モーリー・イェストン
潤色・演出/中村 一徳 翻訳/青鹿 宏二

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